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カンボジア

 「今からカンボジアに行くよ。」
 ・・・・・は?
 それを聞いたわたしは――――いや、わたしたちは思考が一気に止まった。
 突然の発言をしたのは、我が専門学校の男性教師であった。先生は教卓の上に両手の手のひらをついて説明する。
 「ウチの学校は毎年、カンボジアにある日本人学校に通う生徒と交流を深める行事があるんですよね。みんないい子達やから楽しんで交流を深めてください。」
 この独特の関西なまりで言う言葉が、わたしたちを更に混乱させる。
 教室中がざわめき始めた。
 隣にいた友達がわたしに話しかけてくる。
 「ねぇ、先生とうとう頭おかしくなったかな?」
 「・・・うん、きっとそうだと思う。」
 ってか、カンボジアに行くっていう時点でヤバいでしょ。
 しかも“今から”って・・・・。
 先生、本当の意味で脳みその大きいネジ落としてきたのかなぁ。誠実な人なのに。
 そんなわたしたち生徒をよそに、先生は強引にわたしたちをカンボジアへ連れていくのであった。



 In カンボジア。
 外見は思ってたより綺麗で、塗装もちゃんとしてあって、まるで建てたばかりの体育館みたいだった。
 ・・・・例えはおかしいけど気にしないで。
 たとえ日本人学校とはいえ、ここはカンボジアという国なのだ。木材と葉っぱだけで造られただけの学校だと思っていたから、驚きは数十倍。
 あっけにとられながら教室の中に入る。あ、廊下もかなり綺麗だからね。
 中に入ると、日本人学校の生徒たちはわたしたちを快く歓迎してくれた。幕には「welcome!!」と書いてあった。
 日本人なんだから日本語で書こうよ・・・。ほら、あなたたち日本語でようこそとか言ってんだからさ。
 でも、先生の言う通りとてもいい子達ばかりだ。
 積極的にわたしたちと遊ぼうとするし、いつだって笑顔を向けていた。
 同じ日本人だとは思えない。わたしだったら恥ずかしくて逃げちゃいそう。
 あ、そっか。一応カンボジアで暮らしている方が長いから、カンボジアの習慣に慣れちゃってんだね。


 わたしたちが子ども達と楽しく遊んでいると・・・・

 「何やってんだ!!」

 突然、黒人男性が声を張り上げた。
 教室の空気が一瞬にして止まる。
 よく見ると、軍人さんのような服装で軍人さんが持っているような長い銃を持っていた。
 銃口をこちらに向けている。日本人学校の生徒に対してではなく、“交流に来たわたしたち”に。
 ・・・・・・というか、このお方はホンモノのグンジンさんだ。
 「お前ら日本人だな! 勝手にウチの国に入るのは不法侵入だ!! 分かってんのか!?」
 ええぇぇぇえぇえええぇ!!???? 不法侵入!!???
 どういう事ですか!! なぜカンボジアに入ると不法侵入なんですか!!!
 っていうか、そうだったら空港の時点で止められるんじゃないんですか!!???
 ってか、何でわたしたちだけなのよー! 日本人学校の生徒たちは構わないのか!!?
 友達がわたしの腕をがっしり掴んで震えていた。気付けばみんなで寄り添って1つの塊みたいになっていた。
 先生は手を強く握りしめながら、じっと軍人さんを見つめる。

 続々と、同じ服を着た軍人さんがこちらへ到着した。大体10名くらい。

 「不法侵入するとは、いい度胸だな。」
 い、いやいやいやいや!! わたしたち不法侵入してませんから!
 そんな記憶、全くをもってございませんから!!
 というか、これは誰情報なんだよ!??
 「今すぐにここから出ないと、こいつの命はないぞ。」
 そう言って、近くにいた日本人学校の女性教師を引き寄せ、銃口を後頭部に抑えつけた。
 「ちょっ・・・!」
 わたしは驚いて思わず声をもらす。幸い、軍人さんには聞こえていなかったけど、もし聞こえていたらわたしは確実殺されていただろう。
 「10秒数え終わるまでに、今すぐここから出ていけ!」

 そしてカウントダウンが始まった。

 逃げなきゃ。

 10・・・

 早くここから出なきゃ。

 9・・・

 わたしたちも日本人学校のみんなも命が危ない。

 そう、心の中で思っていた。

 でも・・・・体が言う事を聞いてくれない。

 8・・・

 “恐怖”というものに耐え切れず、震えが止まってくれない。

 7・・・

 みんなも同じなのか、動く気配がない。

 6・・・

 女性教師は、泣きながら「やめて」「殺さないで」「死にたくない」と連発していた。

 5・・・

 他の教師が、必死に軍人さんを説得する。

 4・・・

 けど、軍人さんは一向に耳を傾けず、カウントを取ることだけに集中していた。

 3・・・

 「いや・・・やめて・・・・お願い・・・。」

 わたしは泣きそうになりながら軍人さんと女性教師を見つめていた。

 2・・・

 わたしたちは、初めて経験するのか?

 目の前で、人間が殺されるという光景を目の当たりにするという事を。

 1・・・

 だったら、経験したくない。

 こんな経験、一生しなくて全然構わないよ。

 だけど、今の状況よりもっと嫌だった事は・・・・・・

 ZERO・・・・。

 恐怖で震え、体が動かず目の前の人間を助けにいけない、“わたし”という愚かな人間になってしまった事だ。


 その瞬間、重い重い銃声と女性の一瞬のもがき声が、教室中に響き渡った。












あとがき

ハイ、これは実体験でございますよ。
「夢」で見たんだもん、これは実体験に入るでしょ?(うざ。
いやーリアルに怖かったです><恐怖で目が覚めたようなもんですからね;;
“何で不法侵入!!??”とか“日本人学校のこの子達はどうして入れたんだよ!!”とか考えるの、現実にあったらムリだと思う。
まず恐怖が先にくるはずだわさ。それから頭真っ白で何も考えられなくなりそうじゃないですか??(*_*;
さすが夢。やりたい放題ですねぇww(笑)

2009.10.24