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光埜の彼方の澪龍穿 番外編〜袢練の恋!〜

  「お、おい押すなよ柊!!」
 「こっからよく見えねぇんだよ。っつか、まだいないからいいじゃん。早く出てこねぇかな〜♪」
 「身を乗り出す事だけは絶対すんじゃねーぞ。」
 アスファルトの壁で身を隠しながら、柊と袢練は“何か”を待っていた。
 袢練はしゃがみこんでいて、柊はその上に乗りかかるように立っていて“ある店”の様子をうかがっている。
 一体何をしているというのだろうか。

 じっと待つ二人。

 ただじっと待つ二人。

 ひたすら待ち続ける二人。

 「………………。」
 じっと待ち続けて30分が経過した。
 「………おい袢練、本当に出てくんのか?」
 柊が不機嫌且つ待ち疲れたような低い声で袢練に言った。
 「まぁまぁ慌てんなって。もうそろそろのはずだから。」
 「……ふーん。」
 柊は半分疑わしい目で袢練を見た時だった。
 「「!!」」
 “花屋”から誰かが出てきた。店員の女の子のようだった。
 「袢練、もしかして……あの子か?」
 柊は、ひそひそ話をするようにひそめた声で袢練に聞いた。
 すると、袢練は顔を真っ赤にしながら、
 「……おう、その通りだ。」
 恥ずかしさを隠すためか、ぶっきら棒に答えた。
 花屋の女の子は道路に水をまき始めた。
 「へぇ〜なかなかカワイイじゃん。よくこの子見つけたなぁ。」
 「……………。」
 「そーいや、ここの花屋よくばあちゃんが買いに行くような気が…………って、袢練、お前大丈夫か?」
 柊がちらっと袢練を見ると、花屋の女の子にくぎ付けで柊の話など全く聞いていなかった。
 ショッキングピンクならぬ“ショッキングレッド”という名の色で顔が染まっている。
 仕方ないから、柊は袢練のつむじをグーで殴ってあげた。


 「んで? この子の名前は?」
 「可純(かすみ)って言う………はず。」
 袢練は、いつになく真剣な表情でその子の名前を曖昧ながら答える。その容姿に似合わずたんこぶがあるのは残念だが。
 「“はず”って………お前、この子と面識ないのか?」
 「あるわけねぇだろ! 店の前通るだけでも精一杯なんだから。」
 じゃあいわゆる一目惚れというヤツだな、と柊は確信した。
 「最近、さりげなく横目で名札見たら“可純”って書かれてたよーな気がするんだ。」
 袢練はよっぽど照れているのか、色々と意味不明に顔を歪ませている。
 「なぁ柊、俺どうしたらいいと思う? あの子にアプローチをかけるべきかずっと遠くから見守っとくべきか…。」
 ため息混じりで袢練は柊に問いかけた。
 んなモン決まってんだろ、と柊は当たり前に言う。
 「アプローチしろよ。お前の存在をアピールした方がいいって。」
 「でも恥ずかしいんだよぉ〜。そんな勇気あったらとっくにやってるし…。」
 「じゃあこのままずっと遠くから見守っとけ。永遠の片想いでもしてりゃいいじゃん。」
 「だけど可純ちゃんを逃すと、可純ちゃん以上のカワイイ子見つけられないと思うんだよなぁ。チャンスは今のうちかもしれないと思うともったいなくて。」
 袢練の優柔不断っぷりに、柊は思わず脳に電気を走らせた。
 「……………結局てめぇはどっちをやりたいんだ…?」
 柊の拳が徐々に強くなっていく。顔もどんどん変形していく。
 「だからそれを迷ってるから柊に相談してんじゃねぇか。あ〜どうしよ〜;;」
 袢練は頭を抱えて真剣に悩み始めた。「う゛〜」とか「あ〜もう〜」とか、唸り声を出しているかのように不気味だった。
 その瞬間、柊は笑顔を作った。
 「あっそう。真剣に悩んでるんだね? じゃあ………。」
 柊の拳の周りが、なぜか赤いオーラに包まれている。
 そして、今しがたの笑顔はどこへ行ったのか、柊の顔は突如鬼の形相に変わった。

 「さっさと顔出しに行ってこいやぁぁぁああぁあぁああああぁ!!!!!」

 柊の闘拳が袢練の背中に見事ジャストミートした。
 そのまま明後日の方向へ飛んでいきそうだったが、袢練は無事に花屋………もとい女の子の前で停止した。
 “頭隠して尻隠さず”というように、顔は思い切り地面にのめりこんでいるが、体はというと顔が支えになっているのか宙に浮いたままであった。
 「…………え、え…??」
 当然、“可純”は目の前で何が起こったのか全く分からない。
 だけど、なんとなーく声をかけなきゃいけない感じがした可純は恐る恐る“その人”に声をかけた。
 「……あ、あのぉ…。何をやってるんです…か?」
 すると袢練は、素早く起き上がって可純の目の前に立ったのであった。
 (うわっ……近ぇよ俺!! 今、俺は世界で一番可純ちゃんの近くに立ってるんだよなっ!)
 袢練の緊張がヒートアップする。が、そんな袢練の様子に可純は気付くはずもない。
 可純は目の前の人間を不思議そうに見ていた。
 (な、何なんだろうこの人…^^;)
 そして、とうとう袢練が喋った。
 「きょ、今日もいい天気ですね〜っ♪」
 「………え?」
 奇妙に袢練の声が裏返る。変わったテンションの袢練に、可純は理解ができない。
 「い、いつもこ、ここで何をやってるんですかぁ?」
 誰もが見て分かる質問をするんじゃねーぞ袢練。
 「…は、花を売っていますが……それが何か?」
 当然の事を聞き返して当然だぞ可純。
 「……えっ? あ、そ、そうですよね…! 花屋さんですもんね…っ!! あはは、あはははは!」
 ようやく気付いた袢練。自分は一体何を言ってるんだろと余計に恥ずかしくなった。
 「えーっと………、じゃあもう帰ります! 失礼しましたぁっ!!!」
 袢練は力ある限り大きな声で謝り、体力ある限り全力で走ってこの場を離れた。
 「………一体、何だったんだろうあの人…。」
 嵐のように現れ、嵐のように去っていった男の人の後ろ姿を、見えなくなるまでじっと見ていた。
 「でも、何か面白い人だったわ。」



 ついさっきまでいたアスファルトの壁に柊がいない事に気付いたのは、そう遅くはなかった。
 「…………あのヤロー、覚えてやがれ……。」

 袢練の波乱万丈な恋はまだまだ続くのである。(?)












あとがき

「光埜〜」番外編第二弾でございます。(最初の方はキリ番小説にて載せてあります。)
夢で見たストーリーを光埜Var.で載せてみましたですハイww
ん〜……この話、柊がまともに見えてしまうのは私だけだろうか?(え?
誠実そうな袢練が恋になると不安定になってしまうのはどうしてだろうか?(何。
まぁ、お互い意外な一面があるって事が分かりました作者です^^(殴。
続きは………あるのか、な?(笑)
私の気が向いた時に書いてみようかなーと思います。

2009.09.05