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1000hit. 後悔




俺は今、電車の中にいる。一時期実家に帰るためだ。
久々の里帰りに、本来なら喜ぶところだろう。
でも、俺は違う。

今日、おかんが病院で亡くなったからだ。

白血病だそうだ。


その知らせを姉ちゃんから受けた俺は、仕事の途中を抜け出して今がある。
半分、この現実が分からない自分がいる。
半分、後悔している自分がいる………………。


俺が家に着いたのは、夕方だった。
「ただいま…。」
そう言って、俺は静かに中に入った。
バタバタという音がする。
「祐太…。」
姉ちゃんが走ってきた音だ。姉ちゃんのその顔は、とても表現できない。
「…おかんは?」
「中におるよ…。」
姉ちゃんとの会話はそこで途切れ、俺は静かに中に入っていった。
俺がおかんを見たとき、息を殺すように呼吸が出来なかった。

なぜか、おかんは笑みを浮かべたような顔をして、気持ちよさそうにねむっていた。

まるで、これでよかったかのように。

おかんの顔は、とても白くなっていた。

俺は、ゆっくりとおかんの元へ寄った。
カバンを降ろし、優しく顔を触った。とても冷たかった。

「おかん…。何でや? 何でもう逝ってまうんや…。ちょっと早いやろ。もうちょい居てくれや…おかん……。」
手を顔に置いたまま、俺はただ泣くことしか出来なかった。
俺の涙を、おかんの顔に流すことしか出来なかった。
「俺、おかんと約束したよな…? 4人目の孫を見せる言うて…。嫁のお腹の子はな、おかんの顔を見るのをめっちゃ楽しみにしてんぞ…。
 約束ちゃうやんか…おかん…! ……何か言うてくれや!!」
俺は、“おかんが死んだ”という、その現実が受け止められない。

いや、違う。心のどこかで“その現実を受け止めたくなかった”んだ。
だけど、“現実を受け止めなくてはならない”運命が、今俺の目の前にある……。

そして、
「俺、おかんに一度も優しくした事ないな…。何もしてあげれへんかったな…。せやから、今から何でもしたるから…目ぇ開けてくれや…! 嘘や言うて…くれ……。」
後悔した。

実は、今までおかんに親孝行した記憶がないんだ。

ずっとわがままばっかり言ってきた。
ずっとおかんの言うことを聞かなかった。
一度もおかんにプレゼントをあげたことなかった。
後悔と悔しさが同時にこみあげてきて、俺は更に大粒の涙を流した。
“後悔”という言葉だけでいっぱいになり、他の言葉一つさえ浮かばない。

「祐太…。それはちゃうで。」

姉ちゃんが後ろで話しかける。

「母ちゃんな、そんな事これっぽちも思ってへんで…。母ちゃんは、祐太が小っちゃい時から好きな事をやって欲しかったんや。
 そのためには、母ちゃん頑張る言うてたんよ。だから…そんな事で後悔しちゃアカン。あの世で泣いてまう…。」

そうやったんか…? おかん。
今までの事、何も思ってへんのか…?
姉ちゃんの言葉で、俺は少し驚いた。
確かに、幼い頃から思い出してみれば、こんな俺にずっと笑顔で話しかけてくれた。
口ごたえしても笑顔で「そうか、そうか」と言ってくれた。
「なんでやねん…アホかおかんは…。怒るトコもたくさんあったやろ。何で怒らんかったんや…。ホンマに、アホやで…。」
「裕太…。」
この時、俺は初めておかんの優しさに気付いた。
俺に何でもやって欲しいから、それを邪魔したくないから……。
だから怒ることは一切しないでいつも笑顔で接してくれた――――――。

おかんもアホだけど、一番のバカは俺だったんだ………………。

今ごろ、おかんの気持ちに気付くなんて…。

小さい時に気付いていれば、俺はこんなに後悔しないで済んだんだ。
おかんに苦労させないで、誰にも迷惑かけずに……。
この時俺は、自分を恨み、憎み、嫌いになった。
こんな俺に生まれてきたことにも後悔し、心の底から涙が溢れ出た。


『裕太…。』


えっ? い、今の声は…?


『そんなに泣くな。男やろ? 母ちゃんの子やから泣いたらアカン。裕太は母ちゃんの自慢の息子やて。
 裕太に生まれてきてくれて…母ちゃんの子どもに生まれてきてくれて、ありがとう。』


…………おかん?

おかんの声が、今聞こえた…。

俺の心に語りかけてきたような気がした……。

信じられなかった。
本当に、本当におかんなのか…?
俺は、涙でくしゃくしゃになった顔でおかんの顔を見た。

そこには、おかんの目から一滴の涙が流れ落ちていた。

それは、俺の涙ではなかった。

紛れもなく、おかんの目から流れていた涙だった。

「………おかん…?」
普通、死人から涙が流れるだろうか。
普通、死人の声が聞こえてくるだろうか。
笑みの表情は変えずに、おかんは涙を流していた。
その涙は、悲しみの涙じゃなくて嬉しさの涙のように見えた。
いや、そうしか見えなかった。
そう思ったとき、俺は一気に残りの感情が込み上がってきた。



「おかぁあああああああああああああああああああん!!!!!!!」



俺はしばらく、おかんの冷たくなった体の上で、ただひたすら泣き喚いていた。











あとがき

HP観覧者数1000人突破のキリ番小説です。
この話は中学時代に書いたもので、パソに保存されてたのを見つけたので「どうせなら…」と思い
載っけちゃいました。
ハイ、一切の手直しございませんww
しいて言えば、「?」や「!」の間を空けたくらいッスね♪
いやぁ〜しかし、直すのめんどk(殴。
矛盾だらけじゃーん! でも直す気ナッシング(黙れ。
表現の仕方とかその他もろもろ変なところがあるかと思いますが気にせずに。
何でこんなの書こうと思ったんだ中学の自分……。