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時雨

時雨の降る季節に僕は先輩と初めて出会った…

僕は雨の降る中、傘も差さずに歩いていた。秋から冬へと移り変わる時期だから寒かった。
けど僕は、そんなこと気にせずに歩いていた…
すると、突然雨が落ちてこなくなった。
「雨の中傘も差さずに歩いてると、風邪ひくよ?」
後ろから声がした。振り返ると女の人が傘で、僕を雨から防いでくれていた。
「もう、だいぶ寒いんだから、気をつけないと」
女の人は微笑んで言った。
「別に大丈夫です…」
僕はさっさと行こうとする。
「まあまあ、いいじゃない。別に急いでないんでしょう?行く方向も一緒みたいだし」
女の人は、僕の服の袖を引張って引き止めた。
僕は袖を掴まれているので、不本意だけど立ち去るのを諦めた。
そして、傘に入り二人で並んで歩く。
しばらく沈黙が続く。僕はチラチラ隣を見るが女の人は前を向いて歩いているだけだ。
「何か用ですか?」
僕は沈黙に耐えれなくなった。
「う〜ん…用って言うか…一人で雨に打たれながら歩く君が、寂しそうに見えたから気になってね。何かあったの?」
女の人は微笑みながら言った。その笑顔を見ていると暗い気持ちが、ちょっとだけはれる気がする。
僕はその笑顔にドキッとした。
僕は何故か緊張してしまっていた。
「それじゃ…」
それだけ言って僕は走って逃げるように立ち去った。
「えっ、あ、ちょっと〜!」
後ろから声がする。けど僕はかまわずに走っていった。
今思えば僕は、この時すでに先輩に惚れていたのだと思う…。

二度目の出会いも突然だった。

「あ…!」
「あ〜!」
中学校の廊下でバッタリ出会った。あの時の女の人は、中学の一つ上の先輩だったのだ。
とても大人びていて高校生だと思っていたので、驚いた。先輩も驚いていた。
「君のこと、小学生だと思ってたよ…」
そう思われていたのはわかっていたが、やはりショックだった。
「この間は、どうも」
この間、僕を気遣って話かけてくれたのがわかっているので、お礼を言った。
「え、いや、別に何もしてないけどね…」
先輩は照れて頭をかいている。するとチャイムが鳴った。
「それじゃあね」
先輩は手を振って自分の教室へと向かっていった。僕も自分の教室へ戻った。

僕はバレー部に入っている。自慢では無いが練習を休んだことも無いし、人の何倍も練習をして頑張っている。
けれど身長が低い僕には、バレーをするには不利だった。そして、実力は同じぐらいでも、
身長が高いからという理由で別の人がレギュラーに選ばれた…。
「ふ〜ん…だからこの間暗かったんだね」
偶然帰りに出会った先輩にこの間の話をしていた。
先輩に僕はいつの間にか全部話してしまっていた。
「身長なんて、すぐ伸びるよ。成長期が来るんだしね」
僕より背の高い先輩に言われると少し複雑だった。
「毎日努力しているんでしょ?自信持って頑張ればレギュラーになれるよ」
「そうですかね…」
「ほら、そこで暗くならないの!ポジティブに考えなきゃ」
先輩と話していると自信が湧いてきて心が軽くなるから不思議だった。
そんな感じで僕は帰る時間が同じになれば、先輩と一緒に帰るようになっていた。
僕が先輩に励まされたり、他愛のない話をしたりしていた。

…いつしか、再び時雨の降る季節がきていた…
僕は、身長も伸び努力の結果、バレー部のレギュラーになっていた。
先輩とは最近部活が忙しく、会っていなかった。
先輩と初めて出会った時のように時雨が降っていた。
僕は、久しぶりに一緒に帰ろうと思い、校門で先輩が来るのを待っていた。
昇降口から出てくる先輩の姿が見えた。
「先輩、あの…」
僕は声をかけようとしたが、かけられなくなった…先輩は同級生の人と一緒だった。
一つの傘に入り、仲良さそうに話している。
僕は、仲良さそうに手をつないで歩いて行く、二人を見送るしかできなかった。
それを見て僕の心が痛くなった。僕はそこで初めて先輩に惚れていたんだと気づいた……。


「…と、まあ、これが僕の初恋だね」
「そっか…」
雨の中二人で歩いている。初恋の話を聞きたいと言ってきたので、少し抵抗はあったが話していた。
「僕はあの時のこと少し後悔するんだ。早く好きだという気持ちに気づいていれば、結果は違ったのかなって」
「確かに、気がつかないと手遅れになるよね。自分の気持ち、相手の気持ち両方に気がつかないとね」
高校へ続く坂道を登りながら僕たちは話している。
「そうだね」
僕が言うと、何やら隣からつぶやく声がする。
「…だったら、私の気持にも早く気付いてよね…」
「えっ?何て言ったの?」
僕は、声が小さくて気がつかなかった。
「何でもないよ〜♪」
そう言うと坂道を駆け上がっていった。
「はやく、はやく来ないと、置いて行くよ〜」
上のほうまで登るとこっちに振り向いて笑いながら言った。
「なんなんだ?」
僕は、わけがわからなかったが、追いつくために坂を駆け上がる。
もう、雨は上がって、空には虹がかかっていた…。

FIN





あとがき

相互記念としてぽん。様から頂きました。
この小説の題名「時雨」は、サイト名から取ったのだそうです^^
サイト名を題名にしてくれるなんて、本当に感激しました。それに内容もピッタリですし…。
是非ぽんさんを見習いたいと思います!